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2025年9月1日 更新

バルブの規制

法律規制

バルブのスペックを決めるにあたって、そのバルブが法律の規制を受けるか、又は規制を受けないかの検討が必要です。
日本で規制を受ける主な法律の規制については下記の通りとなります。

1) 高圧ガス保安法

高圧ガスによる災害を防止するため、高圧ガスの製造、貯蔵、販売、移動その他の取扱及び消費並びに容器の製造及び取扱を規制しています。
高圧ガス保安法が適用されるバルブは、経済産業省で定める技術上の基準に適合していることを、完成検査及び保安検査にて確認できるまでは使用してはならない規定となっております。
高圧ガス保安法、関係規則等に基づき高圧ガスに用いる容器、設備、施設等に対する検査・認定を法定業務として実施している、独立した第三者機関の高圧ガス保安協(KHK)に受験申請をすることで、完成検査及び保安検査を受けることが出来ます。

規制を受けるバルブの発注に際しての主な留意事項は、下記に示す通りです。

a) KHK E009 の7章「購入」を満足する設計/ 製造/ 品質管理を行った製品でなければならない。
b) 製造できる事業所(工場) は、認定を取得した事業所でなければならない。(認定は工場単位)
c) KHK EOO9 には、使用条件により品質管理に対して「重要度区分」が規定されているので、該当する重要度区分に要求される品質管理のレベルを満足したものでなければならない。
d) 高圧ガス保安法適用弁を発注する際には、JIS やJPI規格のバルブであっても「高圧ガスの種類」「設計圧力」「設計温度」「腐れ代」を明示しなければならない。認定試験者はこれによってボディ肉厚算定及び実測をし、また所定の耐圧試験及び気密試験を実施しなければならない。
e) 高圧ガス保安法適用弁には、認定試験者の試験に合格したことを明示する銘板がバルブに取り付けられていなければならない。
f) 一般的な試験検査報告書(材料証明書やバルブ検査のレポート類)とは別に、「認定試験者試験等成績書」が必要である。



2) 電気事業法

発電用として作る設備に適用されます。

○ 火力発電プラント
火力発電プラントの場合は「発電用火力設備の技術基準」が適用され、本基準にはバルブの構造の詳細についての規定がないため、電気技術規程、JEAC 3706「圧力配管及び弁類規程」を適用しています。

○ 原子力発電プラント
原子力発電プラントの場合は、JSME S NC1「日本機械学会発電用原子力設備規格」が適用され、機器の重要度に応じてクラス分類がされています。
なお、火力及び原子力のいずれにおいても、溶接について技術的な基準があり、十分に注意して設計・製作されなければなりません。



3) ガス事業法

この法律は、「ガス事業の運営を調整することによつて、ガスの使用者の利益を保護し、及びガス事業の健全な発達を図るとともに、ガス工作物の工事、維持及び運用並びにガス用品の製造及び販売を規制することによつて、公共の安全を確保し、あわせて公害の防止を図ることを目的とする」と規定されています。
ガス事業法によってバルブの構造、材料等について具体的に制限している事項は有りませんが、「ガス工作物技術基準の解釈例」には安全弁等の設置方法についての規定があります。



4) 消防法

以下についての構造及び性能の基準について規定されています。

① 屋内及び屋外貯蔵タンク用バルブ
② 屋内消化栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消化設備、泡消火設備及び屋外消化栓設備並びに連結散水設備用バルブ
③ 加圧送水装置等

P-Tレイティング

バルブには呼び圧力という区分があり、弁箱及びふたの材料と設計温度に応じて、区分毎に最高許容使用圧力が規定されています。これはP-Tレイティングと呼ばれるもので、ASMEやJPI規格などに規定があります。
この規格により、設計条件からバルブの呼び圧力を選定することが出来ます。

NACE規格

NACE (NationaI Association of Corrosion Engineers) 規格とは、国際的な非営利団体であるAMPP (Association for Materials Protection and Performance)が発行する規格です。
バルブに関連する主な規格は以下です。

○ NACE MR-0103規格
精製業界におけるサワー環境及び硫化水素(H2S)を含む環境における硫化物応力割れ(SSC)を防止する為の材料選定及び要件を定めています。材料の化学成分や硬度等に規定があり、留意する必要があります。
主配管、容器および関連する製油所設備、溶接および一般的な製油所建設に適用されることを意図しています。

○ NACE MR-0175規格
MR-0103規格と比較し、石油生産で最も腐食が激しい坑口や採掘場の設備に適用されます。
主配管、容器および関連する製油所設備、溶接および一般的な製油所建設に使用されることを意図しています。
このガイドラインは、硫化水素(H2S)を含む環境下での金属材料の耐クラック性に関する実験データ、及び現場での経験に基づいて規定されたものです。 ISO 15156(国際規格)としても規定されています。
タカミサワバルブ株式会社

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